アレルギー疾患

じんましん(蕁麻疹)の薬物療法

内服薬は、すべての蕁麻疹に対して使用される治療であり、特に抗ヒスタミン薬は蕁麻疹の基本的治療薬です。内服薬では、効果と副作用の両面で中枢組織移行性(脳内移行性)が少なく、鎮静性の低い第2世代の抗ヒスタミン薬(非鎮静性抗ヒスタミン薬)が第一選択薬として推奨されています。
抗ヒスタミン薬の使い方を工夫してもなお十分な効果が得られない場合は、必要に応じて、副作用を考慮して、さらに他の治療薬を追加します。
慢性蕁麻疹の治療における最初の目標は、抗ヒスタミン薬の内服を継続することにより皮疹の出現を完全に抑制することです。抗ヒスタミン薬の効果には個人差があります。また治療効果が現れるのに3~4 日を要することもあります。さらに、内服を続けていると週単位で症状が軽減することもあるので、1つの抗ヒスタミン薬の効果は 1~2週間継続して内服した後に判断することを基本とします。最初の一種類の抗ヒスタミン薬で十分な効果が得られる場合が半数以上です。ただし、症状が激しい場合は、次のようにステップアップして治療をします。

  1. 一種類の抗ヒスタミン薬で十分な効果が得られない場合は、他の種類の抗ヒスタミン薬に変更して効果が現れる場合があります。
  2. 最初の抗ヒスタミン薬に別の種類の抗ヒスタミン薬を追加して2種類内服(併用)する場合もあります。
  3. または、最初と同じ薬剤(単剤)の内服量を2倍にすることで高い効果が得られることもあります。(国際ガイドラインでは他剤の追加(併用)よりも単剤の増量が推奨されています)
  4. 内服時間が近づいてくると症状が出てくる場合や、日中眠気が感じられる場合は、内服時間のタイミングを変更することで解決できることもあります。
  5. これらの対処で十分なかゆみのコントロールが出来ない場合は、ヒスタミンH2拮抗薬(通常は胃炎薬)を併用します。
  6. それでも十分でない場合は、抗ロイコトリエン薬を併用します。漢方薬が有効な方もいます。これらの治療薬は,抗ヒスタミン薬ほど有効率は高くないとされますが、一部の症例では高い効果を期待できます。
  7. それでも症状が重い場合、プレドニゾロン換算量<0.2 mg/kg/日のステロイド内服により症状を制御できることが多いです。しかし、慢性蕁麻疹の長期的予後に対するステロイドの治療効果に関する根拠はなく,皮疹を抑制できるというだけで漫然とステロイド内服を続けるべきではありません。よって、ステロイド併用により効果的に症状が抑制できた場合は、徐々にステロイドを減量して早期の離脱を図り,1カ月以上減量または中止の目処が立たない場合は他の治療への変更を検討します。そのため,ステロイドはその使い方に精通した医師が、その他の治療法の効果、蕁麻疹の症状の程度、およびステロイドの副作用の危険性を正しく評価した上で使用されることが大切です。小児には原則として長期的なステロイドの投与はしません。
  8. 以上の治療法を行ってもなお症状が強い、あるいは副作用などの理由で他の方法により症状の制御が必要な場合は、オマリズマブ注射により症状をコントロールします。その場合は総合病院にご紹介します。
  9. また、感染、ストレス、疲労、さらには抗ヒスタミン薬を含む治療薬自体が蕁麻疹の原因ないし悪化因子となっていることもあるので、難治例ではいたずらに薬剤を追加せず、患者さんの生活様式や全身の状態を踏まえて各薬剤の必要性を吟味することが大切とされています。
  10. いつまで薬剤治療をするのか?
    抗ヒスタミン薬、または抗ヒスタミン薬と補助的治療薬により症状の出現を完全にコントロールできた場合は、引き続き同じ薬剤の予防的な内服を継続し、さらに一定期間症状出現がないことを確認できれば 、1 日あたりの内服薬の種類を減らすか、内服量を減量します。さらに、症状の悪化がなければ内服の間隔をあけます。その後、3 日に1 度程度内服することで症状が出現しない状態まで改善したら、いったん内服を中止し、症状出現が週に2~3 回程度で、かつ1 回に出現する膨疹数が数個以内であれば適宜頓服に変更します。症状消失後の予防的内服期間は、症状消失までの期間が4週間以内(急性蕁麻疹)であれば1週間程度、それ以上の慢性蕁麻疹では2カ月を目安として薬剤を中止していきます。しかし、焦って中止しようとすると、かえって逆戻りすることもあるので注意が必要です。

 

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医療法人さくら皮フ科

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