小児皮膚疾患

円形脱毛症

円形脱毛症とは?

コインのように円く脱毛する単発型が基本ですが、一ヵ所と限らず多発することもあります。
ときに頭全体の毛が抜け、さらに全身の毛が抜けることもあります。頭全体の毛が抜けるとき全頭型、頭を含め全身の毛が抜けるとき汎発型といいます。また、少ないですが、頭髪の生え際が帯状に抜けるとき蛇行型といいます。
円形脱毛症はどんな年齢でもなりますが、
患者さんの約20%はこどもです。15歳以下で始まり全頭型や汎発型などのひどい脱毛もこどもに多くみられます。

円形脱毛症の脱毛部では、本当に毛が脱落して無くなっています。そこではどの毛穴でも毛包が縮んで休止期のようになっているのですが、その原因は成長期の毛包がリンパ球の攻撃を受けて壊されてしまうからです。どうして、自分のリンパ球が自分の毛包を攻撃してしまうのか、その理由は完全には分かっていませんが、患者さんの遺伝子を詳しく調べた結果、現在では毛包を標的にした自己免疫病だと考えられています。リンパ球の攻撃が抑えられれば元通りの毛が生えてきます。

ストレスが円形脱毛症の原因ではないのですか?

確かに何か精神的ストレスがあったときに脱毛が始まってしまう患者さんもいます。しかし、多くの人は関係なく始まっているのです。なぜリンパ球の炎症が始まるのかが問題ですが、ある人では精神的ストレスがきっかけ、つまり原因と言うよりは誘因になるのかもしれません。
円形脱毛症の頻度は人口の1~2%と推測され、患者さんの2割程度に家族内発生があります。
なりやすい素質が遺伝しているようです。

アトピー性皮膚炎、甲状腺の病気、貧血、亜鉛欠乏症を伴う患者さんもいますが、円形脱毛症との直接的な関係はないと言われています。しかし、アトピー性皮膚炎でデュピクセント治療を行うと円形脱毛症も軽快する患者さんがいます。また、爪には小さな凹み、横の溝などの変化が1/4の患者さんにみられ、爪の変化は円形脱毛症の一症状です。

円形脱毛症は治るものですか?

脱毛斑の少ない場合は、抜けつ生えつしながら、ほとんどが6カ月ないし1年で軽快してきます。自然に治り、治療も不要なくらいです。一方、広く抜けている場合は、脱毛が長引き、全頭型や汎発型では数年以上続くこともあります。ただし、例え何年も脱毛が続いていても、毛包の大元の細胞(幹細胞)は残っていますので、治療がうまく効けば毛がもどってきます。さらには自然の経過で思いもよらず生えてくることもあります。治ると信じましょう。つまり、リンパ球の炎症が抑えられさえすれば、成長期の毛包は回復するのです。

治療法

始まったばかりで小範囲の脱毛の場合は、ステロイドや塩化カルプロニウムなどの外用療法を開始します。セファランチンの内服療法を併用し様子をみることもあります。どの型の円形脱毛症の場合も洗髪を控える必要はありません。その時、抜ける毛は抜けます。むしろ洗髪をして清潔を保った方が長い目では軽快していきます。

狭い範囲ですが経過が長引くようなら脱毛部にステロイドを局所注射する治療法もあります。しかし、ステロイドの局所注射は痛みを伴うことと、副作用として注射したところがへこんでしまうこと、注射部分にだけ毛が再生することが難点で、広範囲な場合は不適当な治療です。
急速に拡大する場合はステロイドを内服すると難治の場合もかなり効くことがありますが、数ヶ月以上も続けると糖尿病、胃潰瘍などいろいろな副作用が起きますので、2~3ヶ月で内服を中止して、抜けてしまう場合は再び内服することはできません。子どもさんには成長障害を引き起こすことがあるので、使用できません。

また、凍結凝固法は液体窒素で脱毛部を軽く冷却する方法が有効な場合もあります。

現在、最も有効な円形脱毛症の治療法は局所免疫療法です。わざと、かぶれを起こす特殊な薬品(SADBE)を脱毛部に塗って、弱いかぶれ皮膚炎を繰り返し起こさせる治療法です。1~2週に1回行います。有効率は60%以上です。他の治療で難治な場合でもかなり有効で、小児でも治療可能です。ただし中止すると再び脱毛し、治療を繰り返し何年も行うこともあります。副作用として、人によってはひどいかぶれが起きることがあるので注意を要します。薬品の濃度や塗り方が大切ですので、専門医にしてもらうべき治療です。

ウィッグ(かつら)を使っていると治療に影響しませんか?

頭全体の毛が抜ける全頭型に近い重症な場合は、ウイッグを使った方がよいと思います。
男性(男児)では、丸坊主にして吹っ切って考え方を変える患者さんも今まで数名いらしゃいましたが限界もあるとも思います。女性(女児)ではなおさらウイッグを使った方がよいでしょう。ファッションの一つ、身だしなみの一つと考えてよいのではないでしょうか。
ウイッグは蒸れるので病気や治療に悪影響があるのではと心配される患者さんもいますが、問題ありません。周囲の視線は気になります。高額ですが、むしろ使うことで治療にも社会生活にも前向きになれ、QOL(生活の質)が向上します。皮膚科医が紹介できる専門店もあります。

 

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医療法人さくら皮フ科

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